「怪盗ディモンシェとモミの木の少女・解答編」
インテルメッツォ ~怪盗あらわる~
そのとき、どこからともなく無邪気な子供のような声が聞こえてきた。
「やーっと、ボクの謎を解いてくれる人が現れたーっ!」
私はお兄さんたちが声色を変えて喋ったのかと2人を見たが、
2人は「違う」とかぶりを振る。
3人がポカンとしていると、その無邪気な声がまた話しかけてきた。
「ボクは『怪盗ディモンシェ』。どう?謎解きは進んでる?」
『怪盗ディモンシェ』?何か聞いたことがある気がする。
あ、そういえば少し前から、歩香へ来たお客を相手に勝手に
自分の「好敵手」としての素質をテストしてやると言い放ち、
謎解きの挑戦状を叩きつけてくるよくわからない奴がいると、
お兄さん方に聞いたことがあった。
幸い、私はまだ遭遇したことがなかったんだけど…。
そうか、この姿の見えない輩がそうなんだ。
お兄さんたちを見ると、「あぁ、やっぱりこいつか…」
と言わんばかりの落胆顔をしていた。
「こんな言葉を知ってる?『記憶なんて泡みたいなもの、
ちゃんとガラス玉にしないと消えてしまう』って。」
「…」
「知るわけないよねっ。だってボクが考えた言葉だもんっ。アハハハっ♪」
有無を言わさぬその無邪気な声と、
ちょっと小馬鹿にしたような生意気な言い草がとても鼻についた。
『こうなったら、意地でも解いてやる』私の闘志に火がつく。
「このままダラダラ時間がたってもつまらないから、制限時間をあげる♪」
その直後、店内に置いてあるモニターに、星とロウソクが映し出された。
「時間が経つと、この星とロウソクが消えていくよ。
全部が消えるまでに解いたら認めてあげるっ。」
「さぁ、がんばって解いてみせてね、ボクの好敵手さん…アハハハっ♪」
やはり小馬鹿にされている。
「解けないだろうけど、せいぜい頑張ってね」と言わんばかりに。
ムカつきながらも、そんなことに腹を立てていても時間の無駄だと、
気を取り直して謎解きに戻ることにした。
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